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歯科コラム

その「食べこぼし」口腔機能低下症かも?定期検診で安心を手に入れる

最近、食事中にむせやすくなったと感じたり、大好きな硬いおせんべいを避けていることはありませんか?もしかしたら、それは単なる「年のせい」ではなく、「口腔機能低下症」という、お口の機能が複合的に衰えた状態のサインかもしれません。

しかし、ご安心ください。口腔機能低下症は、適切な検診と簡単なケアによって、改善したり進行を遅らせたりすることが可能です。歯科医院でのお口の「体力測定」と、ご自宅でできる簡単なトレーニングで、いつまでも好きなものを美味しく食べ、友人との会話を心ゆくまで楽しめる、そんな安心の毎日を取り戻すことができます。この記事を読み進めて、あなたの未来を明るくする具体的な解決策を見つけていきましょう。

最近、食事でこんなお悩みありませんか?思い当たる「お口のサイン」

年齢を重ねると、体のあちこちに小さな変化が現れるものですよね。「年だから仕方ないわ」と見過ごしてしまいがちな、お口の変化はありませんか?実はそれらの小さなサインが、体の健康全体に関わる大切なメッセージかもしれません。これからご紹介する項目に、ご自身やご家族で「当てはまるかも」と感じるものがないか、一緒にチェックしてみましょう。

食事中にむせやすくなった

食事中にうっかりむせてしまうことが増えた、ということはありませんか?急いでいないのに咳き込んでしまったり、汁物を飲むと気管に入りそうになったり。これは、食べ物や唾液をしっかりと飲み込む力、つまり「嚥下(えんげ)機能」が少しずつ弱まっているサインかもしれません。

通常、食べ物は食道を通って胃へと運ばれますが、飲み込む力が衰えると、誤って気管に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥(ごえん)」と呼びます。誤嚥は、むせるだけでなく、肺炎などの病気を引き起こすリスクにも繋がるため、注意が必要です。ただ、むせるのは誰にでも起こりうる変化ですから、過度に心配するよりも、「お口の機能が教えてくれている大切なサイン」として受け止めることが大切です。

硬いものが噛みづらく、食べるのを避けている

最近、おせんべいやナッツ、あるいは少し歯ごたえのあるお肉など、硬いものを無意識のうちに避けて、柔らかいものばかりを選んでいませんか?「食べたいけれど、噛むのが大変だからやめておこう」と感じることが増えたなら、それは噛む力、つまり「咀嚼(そしゃく)機能」が低下しているサインかもしれません。

また、もしかすると、お使いの入れ歯が合わなくなっていることが原因で、うまく噛めなくなっている可能性もあります。噛む力が弱まることで、食事が限られてしまい、せっかくの食べる楽しみが減ってしまうのは、とても寂しいことですよね。好きなものを美味しく食べられることは、生活の質の向上に直結します。

口の中が乾きやすい、話しにくい

「なんだか口の中がネバネバする」「唾液が少ない気がする」「長い時間おしゃべりしていると、口が乾いて話しにくくなる」といったお悩みはありませんか?これらは「口腔乾燥(ドライマウス)」のサインかもしれません。唾液の分泌量が減ると、口の中が潤わず、食べ物がパサついて飲み込みにくくなったり、話しづらさを感じたりすることがあります。

唾液には、食べ物の消化を助けるだけでなく、口の中を洗い流して清潔に保つ「自浄作用」や、虫歯や歯周病の原因菌の増殖を抑える「抗菌作用」など、たくさんの大切な役割があります。そのため、口が乾きやすい状態が続くと、虫歯や歯周病、さらには口臭のリスクが高まってしまいます。お口の潤いを保つことは、健康を維持するためにとても重要なことなのです。

食べこぼしや飲みこぼしが増えた気がする

食事中に、うっかり食べ物や飲み物が口の端からこぼれてしまうことが増えていませんか?「もしかして自分も?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。これは、唇をしっかりと閉じる力や、食べ物を上手にまとめたり、喉の奥に送り込んだりする「舌(ぜつ)の動き」が弱まっているサインである可能性があります。

自分ではなかなか気づきにくいことですが、一緒に食事をしているご家族やご友人から「口の端からこぼれているよ」と指摘されて、初めて意識するケースも少なくありません。食べこぼしや飲みこぼしが増えるのは、お口全体の繊細な機能が少しずつ衰え始めている証拠かもしれません。このような変化に気づいたら、一度お口の健康状態を見直す良い機会です。

そのサイン、「口腔機能低下症」かもしれません

これまで「食事中にむせる」「硬いものが噛みづらい」「口の中が乾きやすい」「食べこぼしが増えた」といったお口の具体的なサインについてお話ししました。これらの変化を「もう年だから仕方ない」と諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実はこれらの複数のサインは「口腔機能低下症」という、きちんと診断名のある状態を示している可能性があるのです。単なる老化現象と片付けられるものではなく、専門の歯科医院で相談し、適切な対処をすることで改善が見込める医学的な状態として認識されています。

ご自身のお口のサインが「口腔機能低下症」の兆候かもしれないと知ることは、不安を覚える一方で、具体的な対策を始める第一歩にもなります。この状態は放っておくと全身の健康にも影響を及ぼす可能性がありますので、まずはその実態について詳しく見ていきましょう。

口腔機能低下症とは?単なる老化や衰えとは違うの?

口腔機能低下症とは、簡単に言うと「お口の働きが総合的に弱まっている状態」のことです。50歳以上の方を主な対象とし、加齢だけでなく、日頃の食生活や生活習慣、さらには全身の病気などが関係して、食べる、飲み込む、話すといったお口のさまざまな機能が複合的に低下している状態を指します。

「単に年を取ったからお口の機能が衰えた」と考えるのは、少し違います。口腔機能低下症は、歯科医院での検査によって客観的に診断され、健康保険が適用される医学的な状態として位置づけられています。つまり、放置せずに治療やトレーニングに取り組むことで、改善が期待できるものなのです。ご自身が「老いを認めたくない」と感じるように、これは「老化」ではなく「治療できる状態」と捉えることができます。

噛む力、飲み込む力、唾液を出す力、舌や唇を動かす力など、お口の様々な機能が少しずつ低下することで、食事がしづらくなったり、会話がしにくくなったりするのです。これらの機能が低下しているかどうかをきちんと検査し、診断することで、適切な治療やトレーニングを始めるきっかけになります。

オーラルフレイルとの関係

口腔機能低下症と密接に関係している言葉に「オーラルフレイル」というものがあります。オーラルフレイルとは、「お口の虚弱」という意味で、全身の筋力や活力が低下する「フレイル(虚弱)」という状態の、ちょうどお口版、あるいはその前段階と考えられています。

例えば、「最近、食事がしにくくなった」「食べるものが限られてきた」「少し滑舌が悪くなった」といった、ささいなお口の衰えがオーラルフレイルの初期段階です。そして、そのオーラルフレイルが進行し、具体的な口腔機能の低下が検査で認められる状態が「口腔機能低下症」と診断されます。

つまり、お口の健康は、全身の健康、ひいては私たちがいつまでも元気に自立した生活を送るための大切な第一歩なのです。お口のささいな変化を見過ごさず、早めに対処することが、全身の健康寿命を延ばすことにも繋がります。

なぜ起こる?口腔機能が低下する主な原因

口腔機能の低下は、単一の原因で起こるわけではありません。様々な要因が複雑に絡み合って、少しずつお口の機能が弱まっていきます。ここでは、主な原因をいくつかご紹介しますので、ご自身の生活と照らし合わせてみてください。

一つ目は、やはり「加齢による筋力の低下」です。お口の中にある舌や唇、頬の筋肉、そして食べ物を飲み込むための喉の筋肉も、全身の筋肉と同じように、加齢とともに少しずつ衰えていきます。これにより、食べ物を噛み砕く力や、喉の奥に送り込む力が弱まることがあります。

二つ目は「歯を失ったり、合わない入れ歯を放置したりすること」です。歯が少なくなると、食べ物を効率よく噛むことが難しくなります。また、もし今お使いの入れ歯が合っていないと感じているなら、それは要注意です。合わない入れ歯を我慢して使っていると、しっかりと噛みしめることができないため、お口の周囲の筋肉が使われなくなり、機能低下を招く可能性があります。

三つ目は「柔らかい食事中心の食生活」です。硬いものを避けて柔らかいものばかり食べていると、お口の筋肉を使う機会が減ってしまいます。筋肉は使わないと衰えてしまうため、これも機能低下の原因となります。

そして四つ目は、「全身疾患や服用している薬の影響」です。持病の治療のために飲んでいる薬の中には、副作用として唾液の分泌量を減らしてしまうものがあります。また、脳血管疾患などの病気が、直接的にお口の機能に影響を及ぼすこともあります。

口腔機能低下症を放置するとどうなる?全身の健康への影響

「まだ大丈夫」と思っていても、お口の機能低下をそのままにしておくと、実は全身の健康にも大きな影響が及ぶ可能性があります。お口の問題は、やがて全身の体力低下や、人との交流が億劫になること、そして将来的に介護が必要になるリスクにもつながりかねません。これから、口腔機能の低下がもたらす三つの具体的な影響について詳しくご説明しますので、ぜひご自身の状態と照らし合わせてみてください。

食事の楽しみが減り、栄養が偏ってしまう

硬いものが噛みにくくなると、私たちは無意識のうちに柔らかいものばかり選んでしまいがちです。例えば、お肉や野菜を避け、パンや麺類といった炭水化物中心の食事に偏ってしまうことはよくあります。しかし、このような食生活を続けていると、筋肉や骨を作るために必要なタンパク質や、体の調子を整えるビタミン・ミネラルが不足し、「低栄養」の状態になってしまう危険性があるのです。

低栄養は、体力や免疫力の低下を招き、風邪を引きやすくなったり、病気からの回復が遅れたりする原因にもなります。何より、今まで大好きだった食事を心ゆくまで楽しめなくなることは、日々の生活の大きな喜びを失うことにもつながります。美味しいものを美味しく食べられることは、いくつになっても変わらない、大切な心の栄養でもありますよね。

会話やコミュニケーションへの意欲が低下する

お口の機能が低下すると、滑舌が悪くなったり、口の中が乾いてネバネバしたりすることが増えます。すると、人との会話が億劫に感じられるようになる方が少なくありません。「うまく話せないかも」「口の中が乾いて聞き取りにくいと言われると困るな」といった不安から、友人との電話や、久しぶりの食事会も避けるようになるかもしれません。

昔からの友人との食事やおしゃべりは、日々の生活の大きな楽しみであり、大切な心の支えでもありますよね。お口の不調が原因で、人との繋がりが希薄になり、社会的に孤立してしまうリスクがあることは、想像以上に深刻な問題だと言えるでしょう。お口の健康は、単に食べるためだけでなく、人との豊かなコミュニケーションを保つ上でも非常に重要です。

全身の筋力低下や要介護リスクの増加に繋がることも

お口の機能低下が最も深刻な事態を招くのは、全身の健康状態と密接に結びついている点です。食事から十分な栄養が摂れない状態が続くと、体全体の筋肉量が減少し、「サルコペニア」と呼ばれる状態になることがあります。サルコペニアは、足腰の筋力低下を引き起こし、ちょっとした段差でつまずいたり、転倒して骨折したりするリスクを高めてしまいます。

もし骨折をしてしまうと、外出が困難になり、活動量がさらに低下してしまう悪循環に陥ることもあります。最終的には、歩行が困難になったり、寝たきりになってしまったりと、ご自身が最も避けたい「自立した生活の喪失」、つまり要介護状態へとつながってしまう可能性も指摘されています。お口の健康は、単なる口腔内の問題ではなく、いつまでもご自身の足で歩き、自由に生活するための大切な土台なのです。だからこそ、「まだ大丈夫」と思わずに、早期の対応とケアが何よりも重要になります。

まずはセルフチェック!口腔機能低下症の危険度を確認しよう

歯科医院での検査は、ちょっとハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。でもご安心ください。まずはご自宅で、ご自身の「お口の元気度」を手軽にチェックできる方法があります。これからご紹介する項目に当てはまるものがないか、気楽な気持ちで確認してみてください。このチェックはあくまでご自身の状態を知るための目安です。もし気になる点がひとつでも見つかったら、お一人で悩まず、どうぞお気軽に私たち専門家にご相談ください。早期に気づくことが、いつまでも美味しく食事を楽しむための第一歩になります。

7つの項目で簡単チェックリスト

ご自身の口腔機能が低下していないか、これからご紹介する7つの質問で簡単にチェックしてみましょう。これは、日本老年歯科医学会が示している基準を参考に、普段の生活の中で気づきやすい項目を選んだものです。「年だから仕方ない」と見過ごしがちな変化の中には、口腔機能低下症のサインが隠されていることもあります。一つ一つの質問に「はい」か「いいえ」でお答えくださいね。

 

  • 半年前に比べて、硬いものが食べにくくなりましたか?
  • お茶や汁物でむせることが、月に数回以上ありますか?
  • 義歯(入れ歯)を使っていて、合わないと感じることがありますか?
  • 口の中が乾きやすいと感じますか?
  • 昔に比べて、口を大きく開けたり、舌を動かしたりしにくくなりましたか?
  • 食べこぼしや飲みこぼしが増えたと感じますか?
  • 友人と会話する際に、滑舌が悪くなったと感じることがありますか?

いかがでしたでしょうか。「はい」が3つ以上当てはまる方は、口腔機能が少し低下している可能性があります。心配しすぎる必要はありませんが、これをきっかけにお口の健康に目を向けてみませんか。次のステップとして、歯科医院での詳しい検査を検討してみるのも良いでしょう。

不安に思ったら歯科医院へ。どんな検査をするの?

セルフチェックで「もしかして?」と感じた方は、ぜひ一度歯科医院へご相談ください。歯科医院での検査は、多くの方が抱く「何をされるんだろう」「痛いのかな」といった不安を解消する目的もあります。口腔機能低下症の検査は、歯を削るような痛みを伴うものではありませんのでご安心ください。例えるなら、お口の「元気度」を測る、学校での体力測定のようなものと考えていただけるとイメージしやすいかもしれません。これから、具体的な検査の内容を一つずつ、分かりやすくご説明していきますので、ぜひ読み進めてみてください。

口腔機能低下症の7つの検査項目をわかりやすく解説

口腔機能低下症の検査は、国が保険診療として定めている7つの項目に基づいて行われます。専門的な検査と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、それぞれの検査が何のために行われるのか、その目的が分かれば怖くありません。私たちのお口の状態を客観的に把握し、適切なケアに繋げるために大切な検査です。どのようなことを調べるのか、これから一緒に見ていきましょう。

1. 口腔衛生状態の確認
最初の検査は、お口の中の清潔さを見る「口腔衛生状態の確認」です。特に、舌の表面に付着している白い汚れ「舌苔(ぜったい)」の量を歯科医師や歯科衛生士が目で見て確認します。舌苔は口の中の細菌や食べカスなどが溜まってできるもので、その量が多いと口臭の原因になったり、細菌が繁殖しやすくなったりすることがあります。この検査で、お口の中の健康状態の入り口をチェックするわけです。

2. 口腔乾燥の検査
二つ目の検査は、お口の潤い具合を調べる「口腔乾燥の検査」です。口の中が乾くと食べ物が飲み込みにくくなったり、話しにくくなったりしますよね。この検査では、専用の機器を使って口の中の水分量を測定する方法や、ガーゼをしばらく噛んでいただき、その中に含まれる唾液の量を測る方法などがあります。客観的な数値で、ご自身のお口の潤い具合がどの程度かを評価することができます。

3. 咬合力(噛む力)の測定
三つ目の検査は「咬合力(こうごうりょく)」、つまり「噛む力」の測定です。これは、感圧フィルムや専用のセンサーを奥歯でグッと噛みしめていただき、その時の噛む力を測定します。硬いものが噛みづらいと感じる方はもちろん、普段から無意識に柔らかいものばかり選んでしまっている方にとっても、ご自身の噛む力がどのくらいあるのかを知ることは、食生活を見直す大切なきっかけになります。

4. 舌口唇運動機能(舌や唇の動き)の検査
四つ目の検査は「舌口唇(ぜっこうしん)運動機能の検査」といい、舌や唇をどれだけ素早く、上手に動かせるかを調べます。専門用語では「オーラルディアドコキネシス」とも呼ばれますが、内容はとてもシンプルです。「パ」「タ」「カ」という音を、決められた時間内にどれだけ多く繰り返せるかを数える検査です。この機能が低下すると、食べこぼしが増えたり、滑舌が悪くなったりすることに繋がると考えられています。

5. 舌圧(舌の力)の測定
五つ目の検査は「舌圧(ぜつあつ)」、つまり「舌の力」の測定です。風船のような形をした小さな器具を口の中に入れて、それを舌で天井に押し付けるように全力で潰していただきます。この時にかかる圧力を測定することで、舌の筋力を数値化できます。舌の力は、食べ物を喉の奥に送り込んだり、食べカスをきれいに集めたりするために非常に重要な役割を担っています。

6. 咀嚼機能(しっかり噛めるか)の検査
六つ目の検査は「咀嚼(そしゃく)機能の検査」です。これは、特定のグミや専用のゼリーなどを一定の時間、または一定の回数噛んでいただき、その噛み砕かれ具合を評価するものです。食べ物を効率よく、そして細かく噛み砕けているかをチェックすることで、胃腸への負担を減らし、栄養をしっかり吸収できているかどうかの目安を知ることができます。

7. 嚥下機能(飲み込む力)の検査
最後の検査は「嚥下(えんげ)機能」、つまり「飲み込む力」の検査です。これは多くの場合、質問票形式で行われます。「食事中にむせることがありますか?」「飲み込みにくいと感じることはありますか?」といった具体的な質問にお答えいただくことで、飲み込みの機能に問題がないかを評価します。日常生活で気になる症状がないか、詳しくお伺いする検査です。

2. 「食べる力」を育む食生活の工夫

オーラルフレイルの対策として、食事の内容や食べ方を工夫することも非常に重要です。噛む力が弱くなると、つい柔らかいものばかり選びがちですが、意識的に噛みごたえのあるものを食事に取り入れることが、お口の筋肉を鍛えることに繋がります。例えば、食材を少し大きめに切る、根菜類も煮すぎずシャキシャキ感を残すなど、調理法を工夫してみてください。よく噛むことで唾液の分泌も促され、消化を助ける効果も期待できます。

また、噛む力が弱っていても栄養をしっかり摂るために、タンパク質が豊富な食材を積極的に取り入れましょう。豆腐、卵、ひき肉、魚などは柔らかく調理しやすく、手軽に良質なタンパク質を摂取できます。これらを活用したレシピを参考にしながら、彩り豊かでバランスの取れた食卓を心がけてください。何よりも「よく噛んで、ゆっくり味わって食べる」こと自体が、お口の健康を保つ最高のトレーニングになります。

検査は痛い?時間はかかる?気になる疑問に答えます

「検査を受けるのは少し気が引ける」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、ご安心ください。口腔機能低下症の検査は、歯を削るような痛みは一切ありません。お口の中の状態を優しく確認したり、簡単な動作をお願いしたりするものがほとんどです。

検査にかかる時間も、全ての項目を合わせてもおよそ30分程度で終わることがほとんどです。お忙しい方でも、気軽に受けていただけるのではないでしょうか。また、これらの検査は保険が適用されますので、費用面でのご心配も少ないでしょう。このように、口腔機能低下症の検査は、患者さんの負担をできるだけ少なくするよう配慮されています。ご自身の今の状態を知るためにも、ぜひ一歩踏み出してみてください。

諦めないで!口腔機能はトレーニングで改善できます

もし検査の結果、「口腔機能低下症」と診断されたとしても、決して終わりではありません。ご安心ください。年齢のせいだと諦める必要は全くありません。私たちのお口の機能も、体の筋肉と同じように、適切なトレーニングを続けることで維持したり、改善したりすることが十分に可能です。

例えば、日々の生活にちょっとした工夫を取り入れるだけでも、舌の力や飲み込む力は徐々に向上していきます。「もう年だから」と諦めてしまうのはもったいないことです。今日から始められる簡単なトレーニングがたくさんありますので、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。大切なのは、諦めずに続けることです。

歯科医院で受けられる専門的な指導とメンテナンス

口腔機能の改善には、やはり専門家によるサポートが非常に重要です。歯科医院では、これまでの検査結果に基づいて、お一人おひとりの状態やライフスタイルに合わせたオーダーメイドのトレーニングプランを作成してくれます。

歯科医師や歯科衛生士が、それぞれの筋肉の衰え具合や動かし方の癖などを丁寧に評価し、より効果的なトレーニング方法を具体的に指導してくれます。定期的な通院では、機能がどのように変化しているかを確認しながら、必要に応じて指導内容を細かく調整してくれるので安心です。また、もし合わない入れ歯を使われている場合は、その調整も行い、快適に噛めるようにサポートします。さらに、ご自身では取りきれないお口の中の汚れを専門的に清掃してもらうことで、清潔で健康な状態を保つことができます。プロと一緒に取り組むことで、一人で悩むよりもはるかに心強く、効果的な改善が期待できるでしょう。

自宅で今日からできる!簡単な口腔機能トレーニング

歯科医院での専門的な指導と並行して、ご自宅で手軽にできる口腔機能トレーニングもたくさんあります。特別な道具は一切必要ありませんし、テレビを見ながらや、ちょっとした空き時間にも実践できるものばかりです。

「これなら自分にもできそう」と感じるような、簡単で続けやすいトレーニングをご紹介しますので、ぜひ今日から日常生活に取り入れてみてください。

唾液腺マッサージで潤いを保つ
お口の潤いを保つために有効なのが、唾液腺マッサージです。唾液は、食べ物の消化を助けるだけでなく、お口の中を清潔に保ち、細菌の繁殖を抑える大切な役割を担っています。
主な唾液腺は3つあります。「耳下腺(じかせん)」は耳たぶの少し前あたり、「顎下腺(がっかせん)」はあごの骨の内側の柔らかい部分、「舌下腺(ぜっかせん)」はあごの先端、舌の付け根あたりにあります。それぞれの唾液腺を指の腹で優しくゆっくりと円を描くようにマッサージしてみましょう。特に食事の前にマッサージを行うと、唾液が出やすくなり、食べ物が飲み込みやすくなる効果が期待できますよ。

舌のトレーニング(あいうべ体操など)
舌の筋力を鍛えることも、口腔機能を高める上で非常に大切です。代表的なトレーニングに「あいうべ体操」があります。これは、大きく口を開けて「あー」と言い、次に口を横に広げて「いー」、続いて唇を前に突き出して「うー」、最後に舌を思い切り突き出して「べー」と発声する一連の動きです。それぞれをゆっくりと、最大限に口や舌を動かすように意識して繰り返します。
この体操をすることで、舌の筋肉が鍛えられ、飲み込みがスムーズになったり、発音がはっきりしたりと、日常のさまざまな場面で改善を感じられるでしょう。少しずつでも毎日続けることが大切です。

発音練習(パタカラ体操など)で唇と舌を鍛える
唇や舌の動きを鍛えるには、発音練習も効果的です。特に「パタカラ体操」は、口腔機能低下症の検査項目にも含まれるほど有効なトレーニングとして知られています。
この体操では、「パ」「タ」「カ」「ラ」の4つの音を、それぞれ意識してはっきりと発音することを繰り返します。「パ」は唇をしっかりと閉じる力、「タ」は舌を上あごにつける力、「カ」は舌の奥を上あごに押しつける力、「ラ」は舌をスムーズに動かす力をそれぞれ使います。これらの音をしっかり発音することで、食べこぼしを防ぐ唇の力や、食べ物を上手にまとめたり、飲み込んだりする舌の動き、そして滑舌の改善に繋がります。毎日、声に出して練習してみましょう。

「食べこぼし」がなくなる未来へ。定期検診で手に入れる安心な毎日

これまでお伝えしてきたように、「食事中にむせる」「硬いものが噛みづらい」「食べこぼしが増えた」といったお口の小さなサインは、決して「年のせい」と諦める必要はありません。これらのサインは「口腔機能低下症」という、適切なケアで改善できる状態のSOSかもしれません。定期的な検診と、ご自宅でできる簡単なトレーニングを実践することで、食事の悩みから解放され、毎日の食卓が再び笑顔で満たされる未来が待っています。

好きなものを気にせず美味しく食べられる喜びは、何物にも代えがたいものです。友人との会食で、気兼ねなくおしゃべりしながら食事ができる自信は、あなたの生活の質(QOL)を大きく向上させてくれるでしょう。お口の健康を取り戻すことは、単に機能的な改善だけでなく、あなたの心を豊かにし、より活動的な毎日へと繋がっていきます。

定期的なメンテナンスで機能維持。健康寿命を延ばす鍵

一度、口腔機能が改善されたとしても、その良い状態を維持し続けるためには、定期的なメンテナンスが非常に重要です。私たちの体は、年齢とともに少しずつ変化していくものですから、お口の機能も同様に、定期的に専門家によるチェックを受けることで、小さな変化にも早く気づき、適切な対策を講じることができます。

これは、単にお口の健康を保つだけではありません。お口の健康は、全身の健康と密接に結びついています。しっかり噛んで栄養を摂り、誤嚥のリスクを減らすことは、活動的な体を維持し、免疫力を高めることにも繋がります。つまり、定期的なメンテナンスは、介護を必要とせず、ご自身の足で人生を歩み続ける期間である「健康寿命」を長く保つための、非常に大切な鍵となるのです。ご家族に迷惑をかけたくない、いつまでも自立した生活を送りたいと願うあなたにとって、お口のケアは未来への投資と言えるでしょう。

「何かあれば相談できる」かかりつけ歯科医を持つことの重要性

お口の健康を長く保つ上で、技術的なメンテナンスはもちろん大切ですが、それと同じくらい大切なのが、精神的な支えとなる「かかりつけ歯科医」を持つことです。お口のちょっとした変化や、ふとした時に感じる不安を、気軽に相談できる専門家が身近にいるというのは、とても大きな安心感につながります。

信頼できる歯科医院を見つけ、定期的に通うことで、あなたのお口の状態を継続的に把握してもらい、あなたに合ったアドバイスやケアを受けられます。これは、まるであなたの健康を一緒に見守ってくれるパートナーを得るようなものです。長期的な視点でお口の健康を守り、豊かな毎日を送り続けるために、ぜひ信頼できるかかりつけ歯科医を見つけてください。

まとめ:お口のサインを見逃さず、いつまでも好きなものを食べられる生活を

これまでお伝えしてきたように、「食事中にむせる」「硬いものが噛みづらい」「食べこぼしが増えた」といったお口の小さなサインは、単なる「年のせい」ではありません。それは「口腔機能低下症」という、身体からの大切なメッセージなのです。

こうしたサインを見逃さず、勇気を出して歯科医院に相談することで、専門的な検査と適切なトレーニングによって、お口の機能は必ず改善へと向かいます。痛みのない検査でご自身の状態を知り、自宅で簡単にできる体操を取り入れることで、日々の生活は大きく変わっていくことでしょう。

そして、定期的なメンテナンスを続けることで、お口の健康が保たれ、大好きなものを気にせず美味しく食べられる喜びが戻ってきます。友人との食事や会話も心から楽しめるようになり、QOL(生活の質)が向上することはもちろん、将来の安心や健康寿命を延ばすことにも繋がります。ぜひ、前向きな一歩を踏み出して、いつまでも充実した毎日をお過ごしください。

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監修歯科医師

医療法人社団デンタルケアコミュニティ

西新宿院院長

高瀬 陽子 歯科医師

 

 

【経歴】

2004年 昭和大学歯学部 卒業

2004~2010年 文京区法人 勤務

2010~2011年 港区法人 勤務

2013~2022年 新宿区法人 勤務

2022年~フォレストデンタル西新宿 勤務

2024年10月 フォレストデンタル西新宿院 院長就任

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