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歯科コラム

口腔機能発達不全症を予防|3歳からの定期検診と家庭でできること

お子さんの食べこぼしが多かったり、発音が不明瞭だったり、気づくとお口がぽかんと開いていたりすることはありませんか? もしかしたら、それは「口腔機能発達不全症」という、お口の機能が十分に発達していないサインかもしれません。多くのお子さんに見られる症状であるため「もう少し様子を見てみよう」と考えてしまう保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、そのまま放置してしまうと、将来の歯並びや全身の健康、さらには心理面にも影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、お子さんのお口の状態が気になる保護者の皆様に向けて、自宅で簡単にできるチェック方法から、口腔機能発達不全症の基本的な知識、放置するリスク、そして3歳からの定期検診の重要性について詳しく解説します。さらに、ご家庭で今日から始められる具体的な予防・改善トレーニングもご紹介します。

「うちの子は大丈夫かな?」と少しでも気になることがあれば、ぜひこの記事を読み進めていただき、専門家への相談を検討するきっかけにしていただけたら幸いです。お子さんの健やかな成長のために、できることを見つけていきましょう。

もしかしてうちの子も?口腔機能発達不全症のサインをチェック

お子さんの成長を見守る中で、「もしかしてうちの子も、お口の使い方が苦手なのかな?」と不安を感じることはありませんか。このセクションでは、保護者の方が日々の生活の中で、お子さんの様子を観察する際に役立つチェックポイントをご紹介します。歯科医院での専門的な診断とは異なり、あくまでご家庭で受診を検討する目安として活用できるサインを、「食べる」「話す」「普段の様子」という3つの視点から見ていきましょう。

【簡単チェックリスト】3歳のお子さんに見られる主なサイン

それでは、3歳のお子さんに見られる口腔機能発達不全症の主なサインを、「食べる」「話す」「普段の様子」の3つのカテゴリに分けてご紹介します。

●「食べる」ときのサイン:食べこぼし、食べるのが遅いなど
お子さんが食事をしているときに、以下のような様子が見られる場合、唇を閉じる力や舌の動きが十分に発達していない可能性があります。

  • 食べこぼしがとても多い
  • 食べるのに極端に時間がかかる(目安として30分以上)
  • あまり噛まずに丸飲みしているように見える
  • 硬い食べ物や繊維質の多い野菜を嫌がる
  • いつまでも口の中に食べ物を溜め込んでいる(頬張っている)
  • 食事中や食後によくむせる

これらのサインは、お口の周りの筋肉や舌の協調性が未熟であるために、食べ物をうまく口の中に取り込んだり、噛み砕いて安全に飲み込んだりすることが難しい状態を示しているかもしれません。お子さんが食事に集中している時に、少し意識して観察してみてください。

●「話す」ときのサイン:発音が不明瞭、滑舌が悪い
発音や会話の面で気になる点がある場合も、口腔機能の発達に影響があるかもしれません。以下のようなサインが見られるときは、舌や唇の動きが正しく行えていない可能性があります。

  • 特定の音(特にサ行、タ行、ラ行など)が別の音に置き換わってしまう
  • 年齢の割に言葉が聞き取りにくいと、周りの人からよく言われる
  • 全体的に赤ちゃん言葉がなかなか抜けず、幼く聞こえる
  • 話しているときによだれが多い

これらのサインは、話すために必要な舌や唇、顎の精密な動きが十分に獲得できていないことを示している場合があります。スムーズな発音には、お口のさまざまな部位の連携が欠かせません。

●普段の様子のサイン:お口がぽかんと開いている(口呼吸)
食事や会話以外の日常的な場面で、以下のようなサインが見られる場合、口呼吸の習慣が定着している可能性があります。口呼吸は、お口周りの筋肉の発達を妨げるだけでなく、さまざまな健康リスクにもつながることがあります。

  • テレビを見ているときや何かに集中しているときに、無意識に口がぽかんと開いている
  • 寝ているときにいびきをかくことが多い
  • 寝ている間、口が開いていて口で呼吸しているように見える
  • 唇がいつも乾燥してカサカサしている
  • 鼻が詰まっていないのに、鼻で呼吸しづらそうにしている

これらのサインは、お口周りの筋肉、特に唇を閉じる「口輪筋(こうりんきん)」の筋力不足や、舌が正しい位置にない「低位舌(ていいぜつ)」などが原因で口呼吸になっている可能性を示唆しています。口呼吸が習慣化すると、お口の乾燥による虫歯リスクの増加や、アゴの成長、歯並びにも悪影響を及ぼすことがあります。

口腔機能発達不全症とは?子どもの成長にどう影響する?

お子さんの食べこぼしや滑舌の悪さ、お口がぽかんと開いている様子を見て、「もしかしてうちの子も?」と感じた保護者の方もいらっしゃるかもしれませんね。このセクションでは、そんな疑問にお答えするため、「口腔機能発達不全症」という状態について詳しく掘り下げていきます。

「そもそも口腔機能発達不全症って何?」「なぜうちの子に起きるの?」「もしそのまま放置したら、子どもの成長にどんな影響があるの?」といった保護者の方が抱くであろう具体的な疑問に、専門的な視点から、しかし専門用語はなるべく使わずに、わかりやすく解説いたします。

お子さんの健やかな成長を願う保護者の皆さんが、この情報をきっかけに、お子さんのお口の機能について深く理解し、適切な対応を検討するための一助となれば幸いです。

「食べる・話す・呼吸する」機能がうまく発達していない状態

口腔機能発達不全症とは、生まれつきの病気や障害がないにもかかわらず、お子さんが年齢相応に「食べる」「話す」「呼吸する」といったお口の機能が十分に発達していない、あるいはまだ正しく獲得できていない状態を指します。

これは「病気」というよりも、お口の周りの筋肉の使い方がまだ未熟だったり、間違った癖がついてしまっていたりすることによって引き起こされる「機能的な状態」と捉えることができます。適切なトレーニングや日々の生活習慣の改善によって、機能の向上が期待できるものなので、過度に心配しすぎる必要はありません。

重要なのは、お子さんのお口の機能に「あれ?」と感じるサインがあったときに、それがどのような状態なのかを正しく理解し、適切なタイミングで専門家のアドバイスを求めることです。この状態を早期に発見し、対応することで、お子さんの成長をサポートすることができます。

口腔機能発達不全症の主な原因

お子さんのお口の機能が十分に発達しない原因は一つではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることが多いです。主な原因としては、以下のような点が挙げられます。

  • 長期間の指しゃぶりやおしゃぶりの使用: 指や舌が正しい位置に収まらず、歯並びや舌の動きに影響を与えることがあります。
  • 離乳食の進め方の問題: いつまでも柔らかいものばかり与えていると、噛む力が十分に育たず、お口の筋肉が発達しにくくなります。
  • 鼻炎やアデノイドなどによる慢性的な鼻づまり: 常に鼻が詰まっていると、口で呼吸する習慣がつきやすくなり、お口周りの筋肉の発達を妨げることがあります。
  • 舌小帯短縮症: 舌の裏にあるひも(舌小帯)が短いと、舌を上手に動かせず、発音や嚥下に影響が出ることがあります。
  • 口周りの筋肉(口輪筋)の筋力不足: 唇をしっかり閉じたり、食べ物を口の中でまとめたりする力が弱いと、食べこぼしや口呼吸の原因になります。

これらの原因が単独で発生することもあれば、複数組み合わさって、お子さんのお口の機能発達に影響を与えていることもあります。お子さんの日々の様子を観察し、気になる点があれば専門家に相談することが大切です。

放置するリスク|歯並びや全身の健康への影響

「少し気になるだけだから、そのうち治るだろう」と考えて、お子さんのお口の機能に関するサインを放置してしまうと、将来的にさまざまなリスクにつながる可能性があります。早期に対応することで避けられる問題も多いため、ここでは放置した場合に考えられる具体的な影響についてご説明します。

まず、歯並びや顎の成長への影響です。お口の機能が十分に発達していないと、歯並びが悪くなるリスクが高まります。例えば、口呼吸が習慣化すると出っ歯になったり、舌の使い方が悪いと受け口や開咬(奥歯を噛み合わせても前歯が開いてしまう状態)になったりすることがあります。これらの状態は、将来的に高額な矯正治療が必要になる可能性を高めます。

次に、全身の健康への影響も無視できません。食べ物をうまく噛み砕けないと栄養が偏ったり、食事が遅くなったりすることで、成長に影響が出ることもあります。また、口呼吸は口の中を乾燥させ、虫歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、ウイルスや細菌が直接体内に入りやすくなるため、免疫力の低下にもつながります。さらに、睡眠時無呼吸症候群やいびきの原因になることもあり、お子さんの体の健康全般に悪影響を及ぼす可能性があります。

そして、お子さんの心理面にも影響が出ることがあります。例えば、滑舌が悪く友達に聞き返されたり、からかわれたりすることが続くと、人前で話すことに自信を持てなくなり、引っ込み思案になることも考えられます。このような経験が、お子さんの自己肯定感や社会性の発達に影響を与えてしまうことも少なくありません。小さなサインだと思っても、お子さんの健やかな成長のために、早めに専門家へ相談することをぜひ検討してみてください。

なぜ3歳から?定期検診で口腔機能発達不全症を予防する重要性

このセクションでは、タイトルにもある「なぜ3歳から定期検診を始めることが大切なのか」という疑問について、詳しく掘り下げていきます。お子様の食べこぼしや滑舌の悪さが気になり始めた保護者の方にとって、乳歯が生えそろい、食事や会話の能力が飛躍的に伸びる3歳という時期は、お口の機能の基礎を築く上で非常に重要なターニングポイントです。ここでは、この大切な時期に定期検診を受けることで得られる具体的なメリットと、早期発見・早期対応がいかに将来のお子様の健やかな成長に繋がるのかを解説し、受診への一歩を後押しできるよう、わかりやすくご説明いたします。

「うちの子は大丈夫かな?」と感じた今が、お子様のお口の健康と成長について専門家と一緒に考える絶好の機会です。予防的なアプローチは、お子様の将来の負担を大きく減らすことにも繋がります。具体的な情報を通して、保護者の皆様が安心して歯科医院を受診できるようサポートいたします。

口腔機能の基礎が固まる大切な時期

3歳という年齢は、お子様の口腔機能の発達において「ゴールデンエイジ」とも呼ばれるほど、その後の成長に大きな影響を与える重要な時期です。この頃には、多くのお子様で乳歯が全て生えそろい、大人と同じような多様な食材を噛んで食べられるようになります。これにより、顎の骨や顔の筋肉が活発に発達し、正しい咀嚼機能が形成されていきます。

また、語彙が増え、会話能力が大きく発達するのもこの時期の特徴です。言葉を正確に発するためには、舌や唇、頬などの口周りの筋肉が複雑かつ協調的に働く必要があります。3歳は、これらの筋肉が柔軟に動き、発音の基礎が作られる大切な時期と言えます。しかし、一方で指しゃぶりやおしゃぶりといったお口の悪い癖が定着しやすい時期でもあり、これが口腔機能の発達を妨げる要因となることも少なくありません。この時期に正しいお口の使い方を身につけることは、将来の健全な顎の成長や歯並び、ひいては全身の健康に直結するため、非常に重要であると認識されています。

早期発見・早期対応で将来の矯正治療リスクを減らせる可能性

定期検診を通じて口腔機能発達不全症を早期に発見し、適切な対応を行うことは、お子様の将来にとって多大なメリットをもたらします。特に、歯並びや顎の成長に関する問題は、機能的な要因が大きく関わっているケースが少なくありません。

例えば、口呼吸や舌の癖などによって歯並びが悪化する前に介入できれば、本格的な歯列矯正が不要になる可能性が高まります。もし矯正治療が必要になったとしても、早期の介入によって治療期間が短縮されたり、治療費用が軽減されたりすることもあります。問題を先送りせず、予防的な視点からアプローチすることは、お子様の成長過程における身体的・精神的な負担を減らすだけでなく、保護者の皆様にとっても経済的・時間的な価値が大きいと言えるでしょう。3歳という早い段階で専門家と連携し、お子様のお口の健康を積極的に守っていくことが、健やかな未来への「賢い投資」となります。

定期検診では何をチェックするの?

「歯医者さんの検診」と聞くと、虫歯のチェックや治療を想像し、お子様が怖がってしまうのではないかと不安に感じる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、口腔機能発達不全症に関する定期検診は、お子様に痛みや負担を与えるような検査はほとんどありませんのでご安心ください。

具体的な検診内容としては、まず保護者の方への丁寧な問診が行われます。お子様の普段の食事の様子、滑舌、お口の癖など、日頃気になっていることを詳しくお伺いします。この情報が、お子様の口腔機能の状態を把握する上で非常に重要な手がかりとなります。次に、歯科医師や歯科衛生士が、お子様の顔つきやお口元の観察、歯並びのチェックを行います。さらに、舌の動きや唇を閉じる力、飲み込み方などを、遊びを取り入れながら楽しく確認することもあります。例えば、風船や専用の器具を使ってお口周りの筋肉の力を測ったり、少量のゼリーなどを飲み込んでもらって嚥下の様子を観察したりするなど、お子様がリラックスして受けられる検査が中心です。これらの痛みを伴わない検査を通じて、お子様の口腔機能が年齢相応に発達しているか、または改善が必要な点がないかを確認していきます。保護者の皆様は、気軽に相談できる場として、お子様と一緒にリラックスして検診を受けていただけます。

歯科医院で行うこと|診断から治療・トレーニングの流れ

お子さんの食べこぼしや滑舌の悪さが気になるものの、「病院に行って何をされるのか」「どんな治療になるのか」と不安を感じる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。このセクションでは、実際に歯科医院を受診した際にどのような流れで診察が進むのかを、ステップごとに詳しくご紹介します。

「口腔機能発達不全症」と聞くと、難しい検査や治療を想像されるかもしれません。しかし、お子さんが安心して検査を受けられるよう、痛みや負担の少ない方法が中心です。問診から始まり、お子さんの状態に合わせた診断、そして専門家と一緒に取り組むトレーニング、その後の経過観察まで、一連の流れを具体的に知ることで、受診への不安を解消し、安心して一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

お子さんのお口の成長をサポートするための、歯科医院でのプロセスを一緒に見ていきましょう。

ステップ1:問診・カウンセリング

歯科医院に到着したら、まず最初に行うのが問診とカウンセリングです。このステップでは、歯科医師や歯科衛生士が、保護者の方からお子さんの普段の様子や気になっていることを詳しくお伺いします。

「食事中に食べこぼしが多い」「滑舌が悪く、特定の音が言いにくい」「寝ているときに口が開いていることが多い」など、ご家庭で気づかれた小さな変化や心配事を具体的に伝える大切な機会です。前述のチェックリストで気になった項目や、日々の育児の中で抱いた疑問なども、遠慮なくお話しください。

スムーズに話を進めるため、事前にメモなどにまとめておくと良いでしょう。保護者の方からのお話が、お子さんの口腔機能の状態を正確に把握するための重要な手がかりとなります。

ステップ2:口腔機能の検査・診断

問診とカウンセリングの後は、お子さんの口腔機能を詳しく調べる検査を行います。この検査は、お子さんが怖がらないように、痛みを感じない方法が中心です。

まず、歯科医師がお口の中や歯並び、顔つきなどを目で見て確認する「視診」を行います。次に、風船を膨らませたり、専用の器具を使って唇を閉じたり開いたりする力を測定したりして、お口周りの筋肉の動きや筋力をチェックします。また、少量のゼリーや水を飲み込んでもらい、その様子を観察することで、食べ物や飲み物を上手に飲み込めているか(嚥下機能)を確認することもあります。

これらの客観的な評価と、保護者の方からお伺いした情報とを総合的に判断し、「口腔機能発達不全症」であるかどうか、またその原因や状態を診断します。診断の結果は、保護者の方に丁寧にご説明し、今後の治療方針を一緒に考えていきます。

ステップ3:専門的なトレーニング(口腔筋機能療法・MFT)と生活指導

口腔機能発達不全症と診断された場合、その治療の中心となるのが「口腔筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)」です。これは、舌や唇、頬といったお口周りの筋肉を正しく使えるようにするためのトレーニングを繰り返し行うことで、筋肉の発達を促し、機能を改善していくことを目的とした治療法です。

歯科医院では、専門的な知識を持った歯科医師や歯科衛生士が、お子さんの年齢や発達段階、症状に合わせて個別のトレーニングメニューを作成し、直接指導します。このトレーニングは、舌を正しい位置に置く練習や、唇をしっかり閉じる練習、発音の練習など、多岐にわたります。また、歯科医院での指導だけでなく、ご家庭で毎日実践できるよう、遊び感覚でできる簡単な「宿題」が出されることも少なくありません。

さらに、単にトレーニングを行うだけでなく、日頃の食事の仕方や、指しゃぶりなどの癖の改善、口呼吸を鼻呼吸に変えるためのアプローチといった生活指導も並行して行われます。これらを総合的に見直すことで、より効果的な機能改善を目指します。

ステップ4:定期的な経過観察

口腔機能の改善は、短期間で劇的に変わるものではなく、お子さんの成長とともにじっくりと取り組んでいくことが大切です。そのため、トレーニングを開始した後も、定期的な経過観察のための通院が必要になります。

一般的には1〜3ヶ月に1回程度のペースで歯科医院を訪れ、トレーニングの成果を評価したり、お子さんの成長段階に合わせて新たなトレーニングメニューを追加したり、修正したりします。また、ご家庭での取り組みで疑問に思ったことや、新たに出てきた気になる点などがあれば、この機会に相談することができます。

歯科医院は、単に治療を行う場所というだけでなく、お子さんの健やかな成長を保護者の方と一緒に見守り、いつでも相談できるパートナーのような存在として、長期的な関係性を築いていくことが重要です。

治療にかかる期間や費用、保険適用について

口腔機能発達不全症の治療を検討される際に、保護者の方が最も気になるのが、治療にかかる期間や費用ではないでしょうか。治療期間は、お子さんの症状の重さや、家庭でのトレーニングへの協力度、そしてお子さん自身の成長スピードによって大きく異なります。数ヶ月で改善が見られるケースもあれば、数年にわたって継続的な取り組みが必要となる場合もあります。

費用については、2020年4月から、一定の基準を満たした施設で「口腔機能発達不全症」と診断された15歳未満の患者さんに対し、検査や指導が健康保険の適用対象となりました。これにより、以前に比べて費用負担が軽減され、より多くのお子さんが専門的な治療を受けやすくなっています。しかし、具体的な料金設定は医療機関によって異なりますので、受診前に必ず確認されることをお勧めします。

保険適用はされるものの、治療は継続的なものとなるため、トータルでの費用は事前に歯科医院でよく説明を聞き、納得した上で治療を開始するようにしましょう。

今日から始めよう!家庭でできる予防とトレーニング

歯科医院での専門的な指導はもちろん大切ですが、お子さんの口腔機能を育む上で、ご家庭での日々の取り組みは非常に重要です。「うちの子のために何かできることはないかな?」とお考えの保護者の方に、日常生活の中で楽しく実践できる予防とトレーニング方法をご紹介します。特別な時間を設けて「トレーニング」と構える必要はありません。いつもの食事の時間や遊びの中に、ちょっとした工夫を取り入れるだけで、お子さんのお口の機能はぐんと成長する可能性があります。専門家からのアドバイスを補完する形で、今日からできることを始めてみましょう。

食事の工夫から、遊び感覚でできる体操、さらには日頃の生活習慣の見直しまで、具体的な方法をいくつかご紹介します。お子さんが無理なく、そして笑顔で続けられるようなヒントが満載です。これらの取り組みを通じて、お子さんの口腔機能が健やかに発達し、将来の健康へとつながる第一歩を一緒に踏み出しましょう。

食事の時間を楽しくする工夫

毎日の食事の時間は、お子さんの口腔機能を育てる絶好のトレーニングの機会です。無理強いすることなく、楽しく食卓を囲みながら自然にお口の力を養えるような工夫をいくつかご紹介します。

  • しっかり噛むことを意識できる食材を取り入れる
    根菜類(ごぼう、れんこんなど)、きのこ類、イカやタコ、小魚など、少し歯ごたえのある食材を積極的にメニューに加えてみましょう。これらの食材は、噛む回数を自然と増やし、顎の成長を促します。
    「前歯でかじり取る」練習を促す</p><p>りんごの薄切りやとうもろこし、手羽先などを丸ごと、または大きい塊で与えてみましょう。前歯でかじり取る動作は、唇や顎の筋肉をバランス良く使う練習になります。
  • 一口の量を調整し、声かけをする
    一口の量を少し少なくして、「よく噛んでからごっくんしようね」「お口を閉じてモグモグしてね」と優しく声かけをすることで、お子さんが意識的に噛んでから飲み込む習慣が身につきます。
  • 食事中の姿勢と口閉じを促す
    食事中は、足が床につく安定した姿勢で座らせ、口を閉じて食べるように促しましょう。お口が開いたままだと、食べこぼしが増えるだけでなく、口周りの筋肉が十分に機能しにくくなります。

これらの工夫は、お子さんだけでなく、ご家族みんなの食生活を豊かにすることにもつながります。何よりも大切なのは、家族で楽しく食卓を囲み、「おいしいね」「よく噛んでえらいね」といったポジティブなコミュニケーションをたくさんとることです。食事を楽しい時間として捉えることが、お子さんの健やかな口腔機能の発達を後押しします。

遊びながらできる簡単トレーニング(あいうべ体操など)

お子さんにとってトレーニングは「遊び」であることが一番です。遊びの要素を取り入れることで、飽きずに楽しく続けられる、お口の簡単トレーニングをご紹介します。

  • あいうべ体操
    テレビを見ながら、お風呂に入りながらなど、日常の中で気軽にできる体操です。「あー」と口を大きく開ける、「いー」と口を横に大きく広げる、「うー」と唇を突き出す、「べー」と舌を思い切り下に出す、という4つの動きを繰り返します。これを1セットとして、1日に30回程度行うのが理想的です。口周りや舌の筋肉を総合的に鍛えることができます。
  • シャボン玉遊び
    シャボン玉を吹く動作は、唇をすぼめる「口輪筋」を効果的に鍛えます。上手に大きなシャボン玉が作れるようになると、お子さんの達成感にもつながります。
  • 風船ふくらまし
    風船を膨らませることも、口輪筋や頬の筋肉を使う良いトレーニングです。最初は難しいかもしれませんが、少しずつ膨らませられるようになる過程も楽しい経験になるでしょう。
  • ストローでブクブク遊び
    コップに少し水を入れて、ストローでブクブクと泡を立てる遊びもおすすめです。これも唇や頬、舌の協調運動を促します。
  • ラッパやハーモニカなどの楽器遊び
    これらの楽器を吹くことは、自然と唇や頬、呼吸筋を使うため、口腔機能の発達にとても良い影響を与えます。音楽に触れる楽しさも同時に体験できます。

これらの遊びは、お子さんの成長段階や興味に合わせて取り入れてみてください。無理にやらせるのではなく、「楽しいね」「もっと大きくできるかな?」といった声かけで、お子さんのやる気を引き出すことが大切です。

口呼吸から鼻呼吸へ導く生活習慣の見直し

お口の機能発達にとって、正しい「鼻呼吸」の習慣は非常に重要です。もしお子さんが口呼吸をしているようでしたら、鼻呼吸へと導くための生活習慣の見直しを始めましょう。

  • 鼻の通りを良くする
    まず、お子さんの鼻が慢性的に詰まっている場合は、耳鼻咽喉科を受診し、鼻炎やアデノイドなどの原因がないか確認し、適切な治療を受けることが最優先です。鼻が通っていなければ、鼻呼吸はできません。
  • 意識的な声かけと習慣づけ
    お子さんがテレビを見ているときや寝ているときに口が開いているようでしたら、「お口チャックしようね」「お口を閉じてみようか」と優しく声かけをして、口を閉じる意識を促しましょう。最初はすぐに開いてしまうかもしれませんが、根気強く続けることが大切です。寝ている間に口が開いてしまうお子さんには、そっと下顎を支えて口を閉じてあげるのも良い方法です。
  • ガムトレーニング
    少し大きなお子さんであれば、砂糖不使用のガムを噛むトレーニングも有効です。ガムを噛むことで唾液の分泌が促され、さらに口周りの筋肉が鍛えられ、自然と口を閉じる習慣がつきやすくなります。

口呼吸は、お口の乾燥を招き、虫歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、免疫力の低下や顔貌への影響など、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。家庭でできるこれらの工夫を日常に取り入れ、お子さんが健やかな鼻呼吸を身につけられるようサポートしてあげましょう。

まとめ:お子さんの健やかな成長のために、3歳からの定期検診を始めよう

これまでお伝えしてきた通り、お子さんの食べこぼしが多かったり、滑舌が悪かったりといった小さなサインは、単なる「個性」ではなく、将来の歯並びや全身の健康、さらには心理面にまで影響を及ぼす可能性がある大切なメッセージかもしれません。これらのサインは、口腔機能発達不全症という、お口の機能が十分に発達していない状態を示していることがあります。

そして、この口腔機能発達不全症は、機能発達の基礎が固まる3歳頃からの早期発見・早期対応が何よりも重要です。この時期に適切なケアやトレーニングを行うことで、将来的な歯列矯正の負担を軽減したり、お口の機能を健全に育んだりすることが期待できます。お子さんの成長を長い目で見て、今できる最善の選択をしてあげましょう。

「もう少し様子を見ようかな」と不安な日々を過ごすよりも、一度専門家に相談することで、親御さん自身の安心にもつながります。当院では、お子さんが安心して通える環境を整え、お一人おひとりに寄り添った丁寧なカウンセリングと専門的なアドバイスを提供しています。まずはお近くの歯科医院で「口腔機能の相談がしたい」と伝えてみませんか?それが、お子さんの健やかな未来への大切な第一歩となるはずです。

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監修歯科医師

医療法人社団デンタルケアコミュニティ

西新宿院院長

高瀬 陽子 歯科医師

 

 

【経歴】

2004年 昭和大学歯学部 卒業

2004~2010年 文京区法人 勤務

2010~2011年 港区法人 勤務

2013~2022年 新宿区法人 勤務

2022年~フォレストデンタル西新宿 勤務

2024年10月 フォレストデンタル西新宿院 院長就任

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